イランに「テポドン2」 北、供与めぐり秘密交渉

北朝鮮がミサイル開発で密接な協力関係にあるとされるイランとの間で、長距離弾道ミサイルテポドン2号」(射程約6千キロ)の供与に関する秘密交渉をしていることが28日分かった。朝鮮半島情勢に詳しい情報筋が明らかにした。同筋は両国が中距離に加え、長距離弾道ミサイルでの協力という「新たな段階」に踏み込もうとしていると警戒感を示した。

 情報筋によると、イランの代表団は10月上旬と12月上旬の2回、訪朝した。ミサイル開発に携わるSHIG社の幹部らで構成され、10月の訪問の際には朝鮮労働党創建65周年の軍事パレードに招待された。同筋は「テポドン2の本体と、関連技術の移転に加え、長射程化に向けた話し合いも行われている」と語る。

 両国とも国連安全保障理事会弾道ミサイル開発に関し制裁を受けている。このため、北朝鮮は供与によって資金を、イランはミサイル開発で一歩進んだ北朝鮮の技術を得られるとのメリットがあるとみられる。

 イランはミサイル開発を急いでいるが、このほど行った新型ミサイル・サジル2(射程約2千〜2500キロ)の実験は失敗したという。同筋によると、イランはサジル2の実験を5回行ったが、失敗に終わった5回目は実験の事実を公表していない。

 テポドン2は新型ブースターを1段目、中距離弾道ミサイル・ノドンを2段目に使った2段式ミサイル。2006年7月の最初の発射実験は失敗に終わった。09年4月の2回目の実験では、日本上空を飛び越え3千キロ以上飛び、太平洋に落下したと推定されている。

 イラン大使館のコメント「在京イラン・イスラム共和国大使館は、イランと北朝鮮との間には弾道ミサイルをはじめとする、いかなる軍事協力関係も存在しないと強調する」

特待制やめれば私学ホクホク 高校無償化で続々

■授業料徴収→同額の奨学金→支援金収入に

 4月に始まった高校授業料無償化で、私立高校生に支給される就学支援金を満額受領するため、授業料を全額免除する特待制度を廃止するケースが全国の私立高で相次いでいることが27日、分かった。生徒や保護者の負担は変わらないが、私立高側は支援金を受け取ることで収入を増やしたことになる。文部科学省は「違法ではないが、制度の趣旨を踏まえてほしい」と想定外の事態に苦慮している。

 就学支援金は私立高校の生徒の世帯収入に応じ、1人当たり月9900円〜1万9800円を学校側が代理受領する。支援金は授業料を対象に支給されるため、成績優秀者など授業料を全額免除されている生徒への支給額はゼロとなる。

 このため、各地の私立高校で、授業料の全額免除を廃止し、支援金に相当する額の授業料を設定。学校はいったん授業料を徴収したうえで、同額を奨学金として生徒側に支給する制度に変更する例が相次いでいる。生徒側の負担は変わらず、学校側はその分の支援金を国から受領する。

 だが、この形では本来は支出されなかった公金が私立高の収入になっており、「家庭の負担軽減」という制度の趣旨に反する形になっている。そのため文科省では「合理性に懸念がある」と指摘している。4月に出した「制度導入に伴う合理性のない値上げは望ましくない」との通知に、抵触する可能性があるという。

 宮崎県では、県内の14の私立高校のうち13校が、今年度から授業料の全額免除制度を廃止し、就学支援金を除いた額を全額免除する制度に変更した。ただ同県では「奨学制度は学校が独自に考える制度。県としてどうこういうことはない」と静観の構えだ。

 こうしたケースは他の都道府県でも報告されている。北海道では7私立高校が授業料の全額免除制度を廃止。道には保護者から「なぜ授業料が発生したのか。納得いかない」と苦情が寄せられているという。

 また山梨、宮城の両県でも保護者からの苦情が寄せられているという。山梨県は「私学からの問い合わせには『違反とはいえないが、やり方を変えるならば説明責任を果たして制度を変えてほしい』と伝えている」と説明している。

 文科省は「都道府県が法令に従い対応することが大前提。私立高を適切に指導監督してほしい」と、現時点では都道府県の動きを見守ることにしている。

<歩道乗り上げ事故>死亡したのは9歳男児…東京・田園調布

東京都大田区田園調布本町で乗用車が歩道に乗り上げ、歩行者ら6人が死傷した事故で、警視庁田園調布署は27日、亡くなったのは栃木県下野市川中子の会社員、水島亮さん(36)の長男で小学3年、光偉(みつより)君(9)だったと発表した。東京消防庁は当初、亡くなったのは一緒にいた別の5歳男児としていたが、同署が親に確認したところ光偉君だったと判明した。また、一緒にいた別の男児の年齢は5歳ではなく6歳と分かり、現在も意識不明の重体。2人はいとこ同士で、事故で重傷を負った祖父母の家に遊びに来ていたという。

<陸山会事件>大室指定弁護士、小沢氏聴取を要請へ

小沢一郎民主党元代表資金管理団体陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢氏の強制起訴手続きを進めている指定弁護士の大室俊三弁護士は24日、補充捜査の一環として、近く小沢氏に任意での事情聴取に応じるよう要請することを明らかにした。小沢氏の弁護団は拒否する方針で、聴取が実現する可能性は極めて低い。

 東京第5検察審査会は10月4日公表の起訴議決の中で、小沢氏と衆院議員、石川知裕被告(37)ら元秘書3人の共謀を認定。指定弁護士はこの3人にも聴取要請したが、全員に拒否された。小沢氏はこれまでの東京地検特捜部の計4回の聴取で一貫して事件への関与を否定している。

友好の影で資源巡る暗闘も、中国首相の訪印を米紙が分析

中国の温家宝首相は先に3日間の日程でインドを公式訪問した。巨額の商談が調印されるなど、「友好」の旗印をかかげての訪問だったが、米メディアは中印間には多くの火種が存在すると報じた。多維新聞が伝えた。

 17日付のワシントン・ポスト紙は、「中国とインドの間の最も深刻な問題はエネルギー資源をめぐる争い」と報じている。急速な経済成長を続ける両国は、石油の供給を確保するため、競い合うように産油国のインフラ建設を支援している。両国の石油をめぐる争いは、原油価格の高騰を招く可能性があるほか、両国の関係を激化させる“導火線”になるとの見方もある。

 米エネルギー省によれば、インドは石油の75%を、中国は50%以上を輸入に頼っている。両国は石油輸出国であるイラクスーダン、ナイジェリア、アンゴラなどのほか、ミャンマーやロシアとも石油供給に関する協定を結ぼうとしているが、経済力で上回る中国が有利との声もある。

 同紙の記事はさらに、中国がパキスタンとの軍事・経済協力を強めていることにインドは不満を抱いているほか、辺境地区の水資源をめぐっても両国間に対立が生じており、国境紛争は数ある問題の一部にすぎないと指摘している。

<外交文書公開>日米が裏工作を展開 68年の琉球主席公選

沖縄返還前の68年11月に行われた初の琉球政府行政主席公選で、日米両政府が米軍基地存続を容認する保守系候補を当選させるため、沖縄県民の悲願だった国政選挙への参加を同候補の実績として選挙戦に利用しようと画策していたことが22日公開の外交文書で分かった。同候補に有利になるよう選挙資金のてこ入れを促していたことも判明、裏工作で選挙に介入した構図が浮き彫りになった。

 公選は、沖縄自民党総裁の西銘(にしめ)順治氏と、無条件の即時返還などを訴えた革新系の屋良朝苗(やら・ちょうびょう)氏との接戦が予想されていた。

 外務省北米局作成の極秘文書などによると、日本側は68年5月14日の協議で、「選挙前に実現すれば西銘候補が勝てる」として国政参加の実現などを提案。米国側は6月7日、国政参加の実現について「選挙戦の一つの武器として使用したい」と同意したうえで、「表向きにはいかに困難かを指摘しつつ、実現時にはそれが西銘氏の力によるところが大なるがごとき印象を与えるよう取り運ぶ」「(選挙直前の)10月ごろ、日本政府より『西銘案』を基礎にした国政参加実現の提案を行い、米側が同意する」などのシナリオを提案した。

 三木武夫外相は7月25日、ジョンソン駐日大使と「選挙に効果的な時期に発表する」などと打ち合わせを行った。日米両政府は10月9日、沖縄から衆院に5人、参院に2人の計7人が国会審議に参加することで合意した。

 また、68年6月18日付の下田武三駐米大使の公電によると、米国務省のスナイダー日本部長らが外務省幹部に「本土自民党の援助が手遅れになることを最も心配し、沖縄への選挙資金送金方法改善について申し入れを行った」と自民党に金銭的支援を促していた。

 日米両政府の裏工作にもかかわらず、公選では、屋良氏が約2万8000票差で当選した。